紫外線 その1

    「 紫外線について  」
 
 紫外線による人の身体が受けるダメージは、シミ・ソバカスだけではありません。肌の水分が急激に奪われて、乾きやかさつくだけでなく、真皮にまで大きなダメージを与え、はりや弾力が失われます。くすみはもちろん、小じわやたるみの原因ともなるのです。

  1)太陽光線とオゾン層・大気圏

 紫外線(紫外線A、紫外線B)が大気圏を通過して、地球に到達してくる距離は、太陽と地球の位置や時刻により異なります。
 
 太陽が日本に最も近くなる夏至の頃は、紫外線がオゾン層・大気圏を通る距離が短く、強い紫外線が真上から降りそそぐ状況になります。
 一方太陽が日本から最も遠くなる冬至の頃は、紫外線がオゾン層・大気圏を通る距離が最も長くなるので、紫外線も弱くなります。

 しかし、近年話題になっているように、オゾン層の破壊などによりオゾン層自体の厚さや形状も絶えず変化しています。
 さらに雲や霧などの気象状況、大気汚染の状況などにも紫外線の強さや波長分布は、強い影響を受けます。

 2)紫外線の種類

 太陽は波長の異なるガンマ線、X線、紫外線、可視光線、赤外線を放射しています。その中でも紫外線は紫外線A、紫外線B、紫外線Cの3つに分かれています。

光線は波長が短いほど強いエネルギーをもち、人体に大きな影響を与えますが、このうち有害であるいちばん波長の短い紫外線Cと次に短いBの一部は,オゾン層に吸収されるため地表には届きません。オゾン層に吸収されずに残った紫外線Aと紫外線Bだけが地表に届いています。
最近では、このオゾン層の破壊にともなって、今後の紫外線増加が懸念されています。

 3)紫外線A(UVA)と紫外線B(UVB)の違い

 UVA…波長の長い紫外線Aは、生活紫外線ともいわれ、窓ガラスや雲を通過して肌の奥まで届き、しわやたるみ、シミなどの「肌の老化」を引きおこす原因になります。

 UVB…波長の短い紫外線Bは、レジャー紫外線ともいわれ、屋外での日やけの主な原因。肌に強く作用し、たくさん浴びると赤く炎症をおこします。シミ・ソバカスや乾燥の原因にもなるといわれています。

 4)メラニン色素

「紫外線が肌に影響を与えようとしている」という指令がメラノサイト(色素形成細胞)に伝わると、メラノサイトはメラニン色素を作りだします。
 メラニン色素は、メラノサイトから表皮の細胞に受け渡され、皮膚全体に広がり、紫外線を吸収して肌を守ります。
 一方、過剰なメラニン色素は、シミやソバカスの原因となります。

 5)身体を守ってくれる、大切な免疫機能

 人間には、自分以外の物質や自分の身体に害をもたらす細菌・ウイルス・アレルギー物質などの異物から守るための機能である自己防衛システムが備わっています。これが免疫です。
 この免疫機能が正常に作動しているとき、身体は健康で抵抗力がある状態と言えます。しかし何らかの影響で免疫機能が低下すると、細菌やウイルスに感染しやすくなったり、体調をくずしやすくなったりします。

 6)紫外線が免疫機能に与えるダメージ

 なぜ紫外線を浴びると免疫機能が低下するのでしょうか?
 肌の表皮には、ランゲルハンス細胞という免疫機能に欠かせない細胞が点在しています。この細胞は、手のひらを広げたような形をした細胞です。

 いったん異物の侵入を察知すると、それを細胞内に取り込み、その情報をリンパ球に知らせます。情報を受け取ったリンパ球は、身体から異物を排除しようと働きます。

 肌の表皮にあるランゲルハンス細胞は紫外線の影響を受けやすい状態にあります。紫外線によってダメージを受けたランゲルハンス細胞は、全身の免疫システムへ異物の侵入を知らせることができず、身体はスムーズに防御体制を整えられなくなります。このようなことから海水浴やプールなどで全身をやいたあとは、身体の抵抗力が弱まってしまうのです。

 7)免疫システム

 「免疫システム発動のメカニズム」

 ランゲルハンス細胞は、異物を発見するとリンパ節に移動して、全身の免疫系に異物の侵入を知らせ、免疫システムを発動させます。

 「紫外線対策にかかせない「SPF値」、「PA分類」と最適指数 」

 化粧品の紫外線防止効果には、2つの表わし方があります。
 そして、その効果の大きさをしめすのが、『SPF値』と『PA分類』。

 一般に、数値が大きいほうがいいと単純に理解している人が多いのではないでしょうか?
 やみくもに数値の高い商品を選ぶことよりまず、きちんとしたSPF値とPA分類の意味を理解し、ライフシーンに適した商品を選びたいものです。これを知っていると、対策もかなり違ってきます。

 「 UVBを防ぐ効果を示すSPF表示 」

 SPFとは、Sun Protection Factor(サンケア指数)の略でUVBの防止効果を表す数値です。

 日本人の場合、真夏の晴れた海浜で、
 色白の人で約20分、普通肌の人で約25分、色黒の人で約30分程度で赤くなり始めます。
 たとえばSPF43の日やけ止めなら、サンケア化粧品をぬらなかった時の43倍の時間(普通肌の人で約18時間位)肌が赤くなることを防ぐという目安となります。
 もちろん、きちんと塗ってのことですが。

 「 UVAを防ぐ効果を示すPA表示  」

 紫外線Aに対するサンケア指数(PFA)は、PA+,++,+++と表示します。
 
 PAとは、Protection Grade of UVAの略で、UVAをどのくらい防止できるかという目安。3段階に区分され、効果の度合いを「+」の数で表示しています。

 PA+ 効果がある
 PA++ かなり効果がある
 PA+++ 非常に効果がある

 8)海外の紫外線対策の例

 紫外線対策の先進国といわれるアメリカやオーストラリアでも、表示できるSPFの最大値は30。
 SPF30前後までは防御率が効果的に上昇しますが、その後は防御率があまり変わらなくなっているといわれています。

 サンスクリーンなどのUVケア製品を選ぶ時は、SPFの数値だけでなく、使用シーンに合わせて選ぶことが大切です。


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